紀元前にさかのぼる
中国茶の歴史
その起源は5000年前の神話の時代。中国の伝説上の皇帝“神農”が、雲南省と貴州省をまたぐ名高い山間地で発生した茶樹と出逢ったことが、人類とお茶との縁の始まりだといわれています。実史では、漢代(前206~後220年)に書かれた王褒の「僮約(奴隷売買の契約書)」に、お茶に関する記載が登場したのが最初。この頃、四川省一帯で広まった喫茶の文化は、当初は貴族や僧侶など特定階級に限られたものでした。
時代を追うごとに地域的にも階級的にも広がりを見せ、唐代(7~10世紀)になると、日常的な飲料として近隣の国々へと輸出されるようになった中国茶。唐代の茶聖と呼ばれる陸羽が書いた『茶経』は、お茶の歴史やお茶をたてる方法が記載された初めての茶全書で、現在でもお茶のバイブルとして世界中で読まれています。
中国茶の起源は、世界のお茶の歴史そのものであり、お茶は最も古くから人とともにある植物のひとつなのです。
大きく花開いた中国茶文化
明代になると、それまでの高級で贅沢な蒸し製の固形茶の代わりに、釜炒りの散茶が奨励されるようになり、茶の形態は大きく変わりました。清代(17世紀~20世紀)には、第四代皇帝康熙帝や第六代皇帝乾隆帝が大変なお茶好きだったこともあり、多くの銘茶が誕生。地方都市にも茶館や茶楼が作られるようになっていきます。それまで、陸路で輸出されていたお茶は、海路で欧州へも輸出されるようになり、その後のお茶の世界地図は大きく塗り替えられることとなりました。
古来、文人の嗜みであった中国茶。儒家はお茶をもって清廉な心を磨き、道家は静を求め、仏家は禅の思想を助けてきました。近代では、科学の発展とともに、様々な健康効果があることも証明され、広く日常的に親しまれるようになっています。中国茶文化は長い時間をかけて人々の生活に浸透し、世界中で愛される飲料として発展してきたのです。
中国茶の種類
古い歴史と広い国土をもつ中国のお茶は多種多様で、その数は数万種にも上るといわれています。ツバキ科の永年性常緑樹である「カメリア・シネンシス」から作られる中国茶は、製茶方法や発酵度などの違いにより大きく7つに分けられ、さらにその他の原料からなる「茶外茶」を合わせた8種に分類することができます。
白茶
生産量が極めて少なく、高級茶として知られています。繊細な味わいと、淡い水色で、飲んだ後のほんのりとした甘みとフレッシュで爽やかな味わいが特徴です。
紅茶
世界の紅茶の起源といわれる中国紅茶。明代の末頃から製造され、ヨーロッパへ輸出されるようになりました。タンニンが少なく、渋みをあまり感じないため、ストレートで飲むのが基本です。
花茶
花の姿や香りを楽しむ、花を用いて作られるお茶。緑茶や青茶、黒茶、紅茶などの茶葉に花の香りを付着させたものと、花そのものを乾燥させて作られたものとの2種類に分かれます。
青茶
日本でも馴染み深い、烏龍茶が属する青茶。「香りを聞く」と言われるほど香り高いところが魅力です。発酵の度合いが多彩で、品種により味や香りもバラエティに富んでいます。
黄茶
茶葉も水色も黄色味を帯びた希少なお茶。茶葉に菌をつけて積み重ね、高温多湿の場所でゆっくりと発酵させて作られます。唐の時代より皇帝に献上されている、歴史あるものです。
緑茶
生産量も消費量も中国一で、最もポピュラーなお茶。産地も多く、茶葉の種類も豊富です。日本の緑茶とは異なり、窯で炒りあげる製法が主流のため、渋みが少なく爽やかな後味をしています。
黒茶
脂肪を分解し消化を助けると考えられ、明代より発展してきた黒茶。水色は黒っぽく、ややクセのある熟成した香りを放ちます。日本でもダイエット効果があるとして支持されている茶葉です。
茶外茶
茶葉以外の植物から作られたお茶。原料は花弁や蓮の種子、モクセイ科の葉など様々ですが、日本人に身近なものでは、麦茶、そば茶、桜茶、ハーブティーなども茶外茶に含まれます。
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